
1.ジオパークってなに?
A:ジオパークは、美しい自然景観や学術的価値を持つ地層を用いて、その土地や地球の成り立ちを楽しく正しく知ることができる自然公園です。似たようなものに、国立公園や国定公園などがありますね。
しかし、ジオパークの見どころは、景色や地層だけではありません。私たちの生活は、地域の自然環境に大きく影響を受けています。私たちは、自然環境をうまく利用することによって、地域独自の文化を創り、それが地域の歴史を編んできています。ジオパークは単に景色や地層だけでなく、地域の自然環境を利用して培われた人々の暮らしも、見どころに含むのです。
2.ジオパークと世界遺産って何が違うの?
A:世界遺産は、1972年に開催された「国連人間環境会議」において生まれた「世界遺産条約」に基づき、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)が制定するもので、「文化遺産」、「自然遺産」、そしてそれら両者の要素を兼ね備えた「複合遺産」の保護を目的としています。これに対し、ジオパークはUNESCOの支援によって、2004年に設立された「世界ジオパークネットワーク」が認定する自然公園で、地球科学的に貴重な遺産を保護しつつ、それらを地域の教育や科学振興、および観光事業に活用し、持続可能な方法で地域を活性化させることが要求されます。世界遺産は対象物の保護に重きを置いているのに対し、ジオパークは、対象地域を保護しながらそれらを持続的に活用することに重きを置いている点が、両者の大きな違いです。持続的な方法で地域を活性化させるジオパークは、4年に一度の再審査によってその適正や活動度が定期的にチェックされ、その品質の維持と向上が求められます。
3.ジオパークは、いまどこに何カ所あるの?
A:現在日本には、日本ジオパーク委員会が認定した20地域の「日本ジオパーク」があります(2011年9 月現在)。また世界には、世界ジオパークネットワークが認定した「世界ジオパーク」があります。現在その数は世界27カ国87地域(2011年9月現在)で、日本からは島原半島(長崎県)を含め、糸魚川(新潟県)、洞爺湖有珠山(北海道)、山陰海岸(鳥取、兵庫、京都)、室戸(高知県)の5地域が、世界ジオパークに認定されています。
4.ジオサイトって何ですか?
A:「ジオサイト」とは、ジオパークの見どころのことです。ジオサイトの多くは、素晴らしい自然景観(地形)や地層、岩石、湧水、温泉、化石などが存在する場所にありますが、人々の歴史や文化とジオとの繋がりが体感できる場所も含めます。なお、「一つのジオサイトに見どころは一つ」とは限りません。一つのジオサイトの中に、地形・地質に加えて、歴史や食文化等、複数の見どころが含まれている場所もあります。
5.ジオツーリズムって何ですか?
A:“ジオ”は地形や地質を意味し、“ツーリズム”は「観光」という意味です。「観光」とは、一般には、楽しみを目的とする旅行を指すことから、「ジオ ツーリズム」は、そのまま訳せば「(ジオサイトを巡りながら)地形や地質を楽しむ事を目的とする観光旅行」となります。
しかし、ジオツーリズムは、単に地形や地質の見学を目的とする旅行ではありません。ジオツーリズムは、自然環境と人々との間に生まれたドラマを、旅行者に楽しく正しく理解してもらうことが最も重要な事柄です。敢えて説明するならば、「地域固有の大地の遺産のもつ学術的価値と、人々との関わりを楽しみながら知る観光」といったところでしょうか。
6.ジオパークになるためには、何が必要なの?
A:ジオパークになるための大まかな条件は、以下の6つです;
1:学術的に貴重な地形・地質遺産や美しい自然環境が複数あること
2:それらが保護されていること
3:それらをうまく利用した人々の暮らしや文化、歴史があること
4:それらの貴重さやすばらしさを、誰もが学習・体験できるしくみが整備されていること
5: そのしくみが長年にわたって機能し、一定の実績を上げていること
6:これらの取り組みを持続可能な方法で推進することができる組織があること
これらに加え、ジオパークの魅力を観光客に楽しく正しく伝えるためには、ハード面、ソフト面の整備が必要です。たとえば、観光客がジオパークに来たことが認識できるような歓迎看板、ジオサイトの見どころを分かりやすく記述した解説板、ジオサイトまでスムーズに案内者がたどり着けるような案内標識などの整備に加え、ジオサイトの魅力をまとめたパンフレットやガイドブック、ポスター、ジオパーク関係のお土産品の作成、さらにはジオサイトの魅力を余すことなく観光客に伝える優れたガイドの整備などが必要となります。
ジオパークの事業は多岐にわたるため、行政機関のみや民間組織のみが推進してもうまくいきません。地域一丸となってジオパークの認定を喜び、それを活用しようとする積極的な姿勢を持つことが肝要です。
7. 地域の特産品(農産物)、民話、地元の産物や郷土料理、歴史もジオパークに関係があるの?
A:ジオパークの観察対象となるのは、地形や地質だけではありません。地元で収穫された農作物や海産物はもちろん、それらを上手く加工して作られた食料品やお菓子も、立派なジオパークの構成要素です。なぜならば、それらは自然が長い年月をかけて作り上げた土や、その土地ならではの気候条件(気温や降水量)、地形などが複雑に関与しあった結果の産物だからです。さらに、その地域に伝わる民話や歴史は、その土地の気候風土や自然の営みを上手に活用した人々の生活様式を伝承するものですから、これらもジオパークを構成する大事な要素です。
8.ジオパークを楽しむためのコツを教えてください。
A:ジオパークは地形や地質に限らず、それらを利用した人々の暮らしや歴史、食べ物全てが対象になります。目で見て分かる景色のすばらしさ、耳を使って聴く音や鳥達のさえずり、香りで分かるその土地の雰囲気、手を使って知る土や石の感触、舌で味わう地元の美味しい料 理。ぜひ、自分の五感をフルに活用し、ジオパークのすばらしさを全身で感じて下さい。 何気なく目にする景色や、口にする料理の中に、ジオのストーリーがたくさん隠されていますよ。
9.ジオパークの中でしてはいけないことは何ですか?
A:ジオパークに指定された場所の多くは、その景観や自然環境が自然公園法や文化財保護法などの法律によって保護され、持続可能な方法でその地域の素晴らしさを誰もが享受できる仕組みが出来上がっています。持続可能な形で地域を保護するためにも、動植物や岩石類の採取は一切認められません。また、場所によってはそれらを現状の場所から移動させる事すら禁止されている地域もあります。 美しい自然環境を維持し、後生にこの美しさを伝えていくためにも、自然環境を壊すような行為は厳に慎んで下さい。また、他地域産の岩石や鉱物をお土産品として販売する行為も、認められていません。
10.ジオパークに選ばれることのメリットって何ですか?
A:ジオパークの目的は、その認定を活用して、地域を活性化させることにあります。地域の活性化には2つの方法があります。1つは、ジオパークを活用して教育活動を充実化させ、地域住民の地域再発見を促すものです。これは、地域住民が地域の遺産を保護しようとする意識をもたらすだけでなく、地域に誇りを持ち、地域の素晴らしさを外部に発信しようとする意識をうみ出すものです。もうひとつの方法は、ジオの遺産を観光に結び付け、外部から観光客を誘致することによって、地域を経済的に活性化させるものです。つまり、ジオパークの認定により、地域の教育事業の充実化と、観光の活性化の基盤整備が行えるのです。
しかし、ジオパークは世界遺産に比べればその認定数は少なく、まだその知名度も低い状況にあります。したがって「ジオパークに認定されたから(すぐに)観光客が増える」ことは、現時点ではあまり期待できません。地域活性化のためには、「認定されたからお客様が来る」のを待つのではなく、「認定を利用して、地域を活性化させる」努力を、地元住民が積極的に行う事が必要です。しかし、その成果はすぐに現れるとは限りません。もしかしたら、何年もかかるかもしれません。ジオパークを活用した地域の教育の充実化と観光客の誘致活動をバランスよく推進していく事が必要となるでしょう。
また、日本のように地震や火山噴火、気象災害が多発する国では、自然災害と共存することが、自分たちの暮らしを守る上で必要不可欠です。地域の自然を知り、過去の災害を知り、その教訓を後世に伝えていく上で、ジオパークを活用した地域防災教育は、今後非常に大きな意味を持ってくると期待されます。





