TOP > ジオパークとは

Q1. ジオパークって何?

ジオパークは、地域社会の持続可能な発展を通じて、認定地域内にある価値ある地球活動の痕跡を守り、そのまま未来に引き継いでいくことを目的とした、ユネスコの正式事業です。

Q2. ジオパークと世界遺産って何が違うの?

A:世界遺産は、1972年に開催された「国連人間環境会議」において生まれた「世界遺産条約」に基づき、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)が制定するもので、「文化遺産」、「自然遺産」、そしてそれら両者の要素を兼ね備えた「複合遺産」の保護を目的としています。
これに対し、ジオパークはUNESCOが認定する地域で、ジオパーク認定地域内にある国際的な地球科学的価値を有する「大地の遺産」を保護し、それらを地域の教育や学術活動、および観光活動に活用し、持続可能な方法で地域を発展させることが要求されます。持続的な方法で地域を活性化させるジオパークは、4年に一度の再審査によってその適正や活動度が定期的にチェックされ、常にその品質の維持と向上が求められます。

Q3. ジオパークは、いまどこに何ヵ所あるの?

現在日本には、日本ジオパーク委員会が認定した46の「日本ジオパーク」があります(2022年1月現在)。また世界には、UNESCOが認定した「ユネスコ世界ジオパーク」があります。現在その数は世界46カ国177地域(2022年4月現在)で、日本からは島原半島(長崎県)を含め、糸魚川(新潟県)、洞爺湖有珠山(北海道)、山陰海岸(鳥取県、兵庫県、京都府)、室戸(高知県)、隠岐(島根県)、阿蘇(熊本県)、アポイ岳(北海道)、伊豆半島(静岡県)の9地域が、ユネスコ世界ジオパークに認定されています。

Q4. "ジオサイト"って何ですか?

ジオパークでは、その見どころを”ジオサイト”と呼びます。ジオサイトは、地質を見どころとした「地質サイト」、自然を見どころとした「自然サイト」、歴史や文化を見どころとした「歴史・文化サイト」の3種類に分けられます。さらに、これらを観察・遠望できる場所を「ビュースポット」、その価値を学んだり、情報を収集できる場所を「関連施設」と位置付けています。

Q5. ジオツーリズムって何ですか?

ジオツーリズムは、何気なく見える景色の中に隠れている、地球活動と人々の生活や文化との間に生まれたドラマやプロセス、エピソードを楽しむ観光です。しかし、ドラマやプロセス、エピソードの多くは目に見えるものが少ないため、景色だけを見ていたのでは、その地域を深く楽しむことは困難です。専門にトレーニングされたガイドや、専門的な知識を持つ人から、その景色の成り立ちや、その中に見え隠れする歴史的エピソードといった解説を聞けば、その地域をより深く楽しむことができます。よって、ジオツーリズムとは、ジオパーク内にあるサイトやビュースポット、関連施設等で、認定ジオガイドや協議会の専門員、学術関係者など、ジオパークに関する専門知識を持つ人の解説を聞きながら、地球活動と人々の暮らしとのかかわりを楽しむツーリズム、と言えるでしょう。

Q6. ジオパークになるためには、何が必要なの?

ジオパークの条件は、以下の7つです。

1. 認定エリア内に、国際的な価値を持つ地球活動の遺産がある。
2. 認定エリアが抱える重要課題の解決に、ジオパークプログラムを活用している。
3. 国の法令のもとで法的位置づけがあり認定エリア全体を十分に扱うために適切な能力を有する組織が管理運営している。
4. 認定エリアがユネスコの他のプログラムと重複する場合は、相互の相乗効果とジオパーク独自の付加価値の証拠が示されている。
5. あらゆる立場の人をジオパーク活動に巻き込んでいる。
6. 世界的なネットワーク活動に参加・貢献している。
7. 岩石や鉱物などの地質学的な物品の売買に関わらない。また、そういう活動を積極的に防ごうとしている。

ジオパークの魅力を地域住民や観光客に楽しく正しく伝えるためには、ハード面、ソフト面の整備が必要です。具体的には、観光客がジオパークに来たことが認識できるような歓迎看板、サイトの見どころが分かりやすく記述された解説板、サイトまでスムーズに案内者がたどり着けるような案内標識(ハード面)の整備に加え、サイトの魅力をまとめたパンフレットやガイドブック、ポスター、ジオパーク関係のお土産品、さらにはサイトの魅力を余すことなく観光客に伝える優れたガイド(ソフト面)の整備が必要となります。
ジオパークの事業は多岐にわたるため、行政のみや民間組織のみが推進してもうまくいきません。地域一丸となってジオパークの認定を喜び、それぞれの立場で認定を活用しようとする積極的な姿勢を持つことが肝要です。

Q7. 地域の特産品(農産物)、民話、地元の産物や郷土料理、歴史もジオパークに関係があるの?

ジオパークの観察対象となるのは、地形や地質だけではありません。地元で収穫された農作物や海産物はもちろん、それらを上手く加工して作られた食料品やお菓子も、立派なジオパークの構成要素です。なぜならば、それらは自然が長い年月をかけて作り上げた土壌や、その土地ならではの気候条件(気温や降水量)、地形などを直接的または間接的に利用することによって得られた産物だからです。また、その地域に伝わる民話や歴史、方言なども、その土地の気候風土や自然の営みを上手に活用し、表現してきた人々の生活様式を伝承するものですから、これらもジオパークの大事な構成要素です。ただし、食べ物や習慣といった”目に見えるもの”が、大地の成り立ちという、直接”目に見えない”事とかかわりがあることを伝えるのは簡単ではありません。両者のかかわりをわかりやすく伝えるストーリーを作るなど、工夫が必要と言えます。

Q8. ジオパークを楽しむためのコツを教えて下さい

ジオパークは地形や地質に限らず、それらを利用した人々の暮らしや歴史、食べ物全てが対象になります。目で見て分かる景色のすばらしさ、耳を使って聴く音や鳥達のさえずり、香りで分かるその土地の雰囲気、手を使って知る土や石の感触、舌で味わう地元の美味しい料理。ぜひ、自分の五感をフルに活用し、ジオパークのすばらしさを全身で感じて下さい。 何気なく目にする景色や、口にする料理の中に、地球(ジオ)と人々のストーリーがたくさん隠されていますよ。

Q9. ジオパークの中でしてはいけないことは何ですか?

ジオパークに認定された地域の多くは、その景観や自然環境、岩石などが自然公園法や文化財保護法などの法律によって保護され、持続可能な方法でその地域の素晴らしさを誰もが享受できるしくみが出来上がっています。持続可能な形で地域の自然を利活用するためにも、著しく環境を改変させるような動植物や岩石類等の採取は慎んでください。また、場所によってはそれらを現状の場所から移動させる事すら禁止されている地域もあります。ジオパークという仕組みを活用した地域振興を成し遂げる上で、地域固有の遺産がきちんと保全されていることは大前提です。美しい自然環境を維持し、未来の子供たちが私たちと同じようにこの自然環境を利用できるようにするためにも、自然環境の破壊は厳に慎んでください。また、他地域産の岩石や鉱物・化石類をお土産品として販売する行為も、認められていません。

Q10. ジオパークに選ばれることのメリットは何ですか?

ジオパークの目的は、その認定を活用して地域を活性化させ、次の世代が幸せに暮らすことができるような地域社会を構築することにあります。その目的を達成するためには、①学術関係者の研究活動を通じた、地域資源への学術的な価値づけ、②その価値を地域住民に普及・啓発するような教育活動体制の充実化、③価値ある地域資源を持続可能な方法で活用し、地域経済を活性化させるジオツーリズムの推進、④地域資源の法的・実質的な保護、という4つの取り組みがバランスよく実施される必要があります。これらの活動の主体は市町村や都道府県、国に限らず、地域団体や民間企業、個人事業主など多岐にわたるため、ジオパークの認定を通じて地域間の相互連携が強化される、というメリットがあります。中でも教育事業体制の整備は、大きな効果と言えます。

また、日本のように地震や火山噴火、気象災害が多発する国では、自然災害と共存することが、自分たちの暮らしを守る上で必要不可欠です。地域の自然を知り、過去の災害を知り、その教訓を後世に伝えていく上で、ジオパークというしくみを活用した地域防災教育は、「変動する大地・日本」に暮らす私たちが、自然の災いとつきあっていく上で、今後非常に大きな意味があります。また、地球温暖化が与える影響を正しく認識し、自らの行動や地域社会を変えていく活動を広めていくうえで、ジオパークプログラムは大きく貢献するといえます。

Q1. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」って、どこにあるの?

島原半島ユネスコ世界ジオパークは、長崎県島原半島全域を指します。「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」の中には、島原市、雲仙市、南島原市の3つの市があり、およそ15万人の人々が島原半島ユネスコ世界ジオパークの中で暮らしています。

Q2. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」の特徴は?
他のジオパークと何が違うの?

島原半島ユネスコ世界ジオパークの特徴は、なんと言っても世界的な活火山・雲仙火山が引き起こした災いと、雲仙火山が創る素晴らしい自然の恵みが体感できることです。活火山をテーマにしたユネスコ世界ジオパークは、世界的にもあまり例がありません。火山は時に災害を引き起こします。しかし、普段は私たちにかけがえのない恵みを与えてくれています。「人と火山が共生」が体感できるのが、島原半島ユネスコ世界ジオパークの大きな特徴です。
世界各国のジオパークには、そのジオパーク自体の個性があります。世界にはどんなジオパークがあるのか、調べてみてはいかがでしょうか?

Q3. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」の見どころはどこですか?

日本で最も新しい火山である「平成新山」とその噴火災害からの復興プロセスは、大きな見どころの一つです。そのほか、国内では珍しい、正断層の動きによって地面が沈んで生じた千々石断層のダイナミックな断層地形もおすすめです。このほか、歴史的には1637年から1638年にかけて原城跡で繰り広げられた「島原・天草一揆」、1792年に生じた「島原大変肥後迷惑」で語り継がれる眉山溶岩ドームの崩壊と津波による大災害からの復興物語などがあります。もちろん、小浜温泉、雲仙温泉、島原温泉といった、それぞれ泉質の全く異なる温泉群や、豊富な湧水、そしてそれらを利用したおいし~い郷土料理も満載!火山を体験するのもよし、様々な岩石を観察するのもよし、歴史とジオの関わりを訪ね歩くもよし、地元ならではの絶品ジオグルメを楽しむもよし。様々な楽しみ方が出来るのが、ジオパークの良いところです。詳しくは「ジオパークのみどころ」と「モデルコース」のページをご覧下さい。

Q4. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」では、どんなイベントが行われているのですか?

ジオパークに関連した各種イベントが、「がまだすドーム」、「雲仙お山の情報館」、「平成新山ネイチャーセンター」、「雲仙諏訪の池ビジターセンター」などで開催されています。中でも、「ジオツアー」と呼ばれるジオパークの見どころの見学を主体とした小旅行は、地形・地質の専門家やジオガイドが、島原半島ユネスコ世界ジオパークの見どころをわかりやすく解説してくれるので、大人気です。ほかにも、動植物の自然観察会や星空観察会、また「島原半島観光連盟」によるたくさんの体験プログラムなど、島原半島を”ジオ的に楽しむ”コンテンツがたくさんあります。

Q5. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」に入るには、お金がかかるのですか?

「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」内には有料の施設がいくつもありますが、「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」に入るためのお金はかかりません。

Q6. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」に行くにはどうすればいいの?

自家用車の場合、九州自動車道「諫早インター」を経由して陸路で来るほか、有明フェリー、九商フェリー、熊本フェリー、島鉄フェリー等のカーフェリーを使って、島原半島ユネスコ世界ジオパークにアクセスできます。
鉄道の場合、JR諫早駅で黄色い鉄道の島原鉄道に乗り換え、のんびりローカル線の旅を楽しみながら島原半島ユネスコ世界ジオパークにアクセスできます。福岡方面からは、①西鉄大牟田線で大牟田駅→三池港行きのバスに乗り換え→高速船で三池港から島原港②九州新幹線で熊本駅→バスで熊本港→フェリーで島原港 の2つのルートがオススメ。長崎空港からはバスと鉄道を利用ができ、福岡市内からは直通バスも運行しています。

Q7. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」に来ても、どこから見始めればいいのかわからないのですが。

いきなり「ジオパークの見学」といわれても、どこから見ればよいのか?何を見ればよいのか?困ってしまいますよね。
そんな時は、まず最初に「がまだすドーム」の無料ゾーンにある「島原半島ユネスコ世界ジオパーク情報スペース」にお越し下さい。そこには、島原半島ユネスコ世界ジオパーク全体の見どころをまとめたガイドブック(無料)があります。このガイドブックには、島原半島ユネスコ世界ジオパークのモデルコースだけでなく、歴史、文化、温泉、そしておいしい郷土料理やお土産品の情報がたくさん紹介されています。ぜひこのガイドブックを片手に、ジオパークの見どころを巡って下さい。
このほか、主要なジオパークの見どころの詳細地図と案内が書かれた12種類のチラシ、縦9m、横6mと、国内最大規模を誇る半島全域の赤色立体地図、島原半島を構成する岩石を、その成り立ち順に並べた展示コーナー、島原半島ユネスコ世界ジオパークのプロモーションビデオも閲覧できます。ちなみにこの情報スペースでは、日本中のジオパークのパンフレットが入手できます。
この情報スペースのすぐ近くには、島原半島ジオパーク事務局があります。窓口でお声掛け頂ければ、事務局スタッフがサイトに関する詳しい情報や、コース設定などを直接サポートいたします。パンフレットには載せきれていない秘蔵のサイト情報や、地元の美味しい料理を安く食べる事ができるお店の情報、その季節ならではのイベント情報もゲットできるので、ぜひお気軽にお立ち寄りください!

Q8. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」について書かれた本やパンフレット、または「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」を楽しむためのガイドブックはありますか?
それは、どこに行けば手に入りますか?

「がまだすドーム」の無料ゾーンにある「島原半島ユネスコ世界ジオパーク情報スペース」には、島原半島ユネスコ世界ジオパーク全体の見どころをまとめたガイドブックが設置してあります。無料で入手できますので、ぜひご利用下さい。このガイドブックは、「雲仙お山の情報館」や「平成新山ネイチャーセンター」などにも設置してあります。そのほか、島原半島全域についての観光情報については、「がまだすドーム」の無料ゾーンにある「島原半島観光連盟」の窓口や、各市の観光協会で入手できます。

島原半島ユネスコ世界ジオパークの見どころが書かれた書籍としては、「島原半島ジオパークをひと筆書きで一周する」(長崎文献社 1100円)、「ジオパーク完全ガイド」(マイナビ 1760円)や「島原半島ユネスコ世界ジオパークの分かる本」(1100円)の3冊がお勧めです。これらの本は一般書店やインターネットで購入できます。

Q9. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」に泊まりがけで行ってみたいのですが、おすすめの宿泊場所はありますか?

島原半島ユネスコ世界ジオパークの宿泊場所のおすすめは、なんと言っても温泉です。島原半島には、小浜温泉、雲仙温泉、島原温泉といった、それぞれ泉質も源泉温度も全く異なる3つの火山性の温泉がわき出しています。これらの温泉地には沢山の宿泊施設があります。小浜温泉および雲仙温泉のホテル・旅館については、小浜温泉観光協会、雲仙温泉観光協会、雲仙市役所にお問い合わせ下さい。島原温泉については、島原温泉観光協会または島原市役所にお問い合わせ下さい。南島原市の観光情報につきましては、南島原ひまわり観光協会または南島原市役所にお問い合わせ下さい(リンクのページに、各組織のホームページが掲載されています)。
島原半島には、これら3つの火山性の温泉以外にも、原城温泉、布津温泉、口之津温泉といった、泉質の異なる非火山性の温泉もあります。それぞれ共同浴場やスパ施設が整備されていますので、これらを巡れば「温泉のハシゴ」ができます。

Q10. 「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」に来た記念におみやげを買って帰りたいのですが、ジオパークのオリジナルのグッズやおみやげ品はありますか?
それはどこに行けば手に入りますか?

「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」のロゴマークをあしらったポロシャツ、ピンバッジ、文房具などが、ジオパークのオリジナルグッズの代表です。これらの多くは「がまだすドーム」のミュージアムショップで販売しています。最近は、島原半島ユネスコ世界ジオパークのキャラクター「ジーオくん」や「ジーナちゃん」のグッズが増えています。
このほか、雲仙普賢岳の溶岩を用いて焙煎した「雲仙普賢岳焙煎コーヒー」や、島原農業高校の生徒と地元の業者が商品化した「ろくべぇカステラ」、「スープしょうがめん」、「スープほうれんそうめん」、ジーオくんのパッケージがかわいい「火山の子ジーオくん」などが、島原半島ユネスコ世界ジオパーク内のおみやげ物屋やお店で販売されています。ぜひ探してみて下さい。
「ろくべえカステラ」は、サイトの一つである雲仙市千々石町の「千々石観光センター」で、「スープしょうが麺」等は、美味しい手延べそうめんが食べられるお店「めんの山一」やお土産物店で、「火山の子ジーオくん」は、島原市内にある清流亭や「お菓子のグランパ」で、それぞれ発売されています。

Q1.「雲仙岳」っていう名前の山はあるの?

雲仙岳は、普賢岳、国見岳、妙見岳の三岳に、野岳、九千部岳、矢岳、絹笠山、高岩山の五峰を加えた三岳五峰の総称です。時に三岳だけを指すこともあります。

Q2.「温泉」ってなに?

①地表に湧き出た時の温度が25℃以上、②特定の成分が1kgの液体の中に一定量以上溶け込んでいる、という2つの条件のいずれかを充たす湧水が温泉です。地面から噴き出る水蒸気やガスも、これらの条件を充たしていれば、温泉として扱われます。

Q3.平成噴火ってなに?

1990(平成2)年11月17日から始まった雲仙普賢岳の噴火のこと。山の頂上付近に現れた溶岩ドームの一部が崩れて起こる火砕流と、土石流の発生が特徴。活発な火山活動は約5年間継続しました。この噴火でできた平成新山(1483m)は長崎県内の最高峰で、国の天然記念物に指定されています。

Q4.火砕流と土石流って、何が違うの?

火砕流は空気や火山ガスと高温のマグマのかけらが混ざった流れです。土石流は土砂と水が混ざった流れで、火山噴火以外でも発生します。火砕流は高温・高速で、流路にあるものを焼きつくす、きわめて危険な流れです。一方、土石流は火砕流に比べて温度が低く、速度も遅い流れですが、濃密な土砂の流れや中の岩塊が流路にあるものを破壊し、地面を埋めてしまいます。

Q5.断層ってなに?

大地のひび割れのこと。大地全体に、押したり、引っぱったり、横にずれる力がかかっていることを示す証しです。島原半島は、日本では珍しい、大地が引っ張られてできるひび割れ(正断層)がつくる地形が見られる場所です。

Q6.島原半島はどうやって成長してきたの?

およそ430万年前、島原半島は海底火山の噴火で生まれました。この火山島は北に向かって成長。約50万年前には雲仙火山が活動を始めました。約40万年前には雲仙火山のすそ野がつながり、現在の島原半島の原型ができました。30万年前頃からは、断層活動によって島原半島の真ん中が沈み始めますが、海に沈む大地を埋め立てるように雲仙火山は活動を続け、今に至っています。

Q7.「島原大変肥後迷惑」ってなに?

1792年5月21日に起きた日本最大の火山災害を今に伝える言葉。噴火に伴う強い地震で、眉山の一部が大きく崩壊。崩れた土砂が海に突っ込み、大津波が発生しました。この山崩れと津波により、島原半島で約9000人、熊本(肥後)・天草側で約6000人が犠牲になる大惨事となりました。

Q8.「島原天草一揆」ってなに?

「島原の乱」とも。江戸時代前期の1637年11月、凶作が続く中、厳しい年貢の取り立てとキリシタン弾圧を続ける領主に対し、島原半島と唐津藩天草領の領民約3万人(※諸説あり)が、当時16歳の天草四郎時貞(ときさだ)を総大将に仕立て上げて起こした一揆。徳川幕府の鎖国政策を加速させるきっかけとなった、歴史的大事件です。

Q9.「沖田畷の戦い」ってなに?

安土桃山時代の1584年、北部九州を制圧していた佐賀の龍造寺氏と、島原半島の有馬氏と薩摩の島津氏との戦い。数万の兵力を誇る龍造寺軍に対し、手勢8000の有馬・島津連合軍は、敗走を装って龍造寺軍を細い田んぼの畦道に導き入れ、両脇から総攻撃を仕掛けました。地形を上手く利用したこの攻撃により、龍造寺軍は総大将の隆信をはじめ多くの重臣が討ち取られ、九州の勢力地図は大きく塗り替わりました。

Q10.南北朝時代の島原半島ってどんな感じだったの?

南北朝時代の1350年代、九州は国内唯一の南朝優勢の地だったため、島原半島もたびたび戦乱の舞台となりました。九州探題の今川氏を中心とした北朝室町幕府側と、懐良(かねよし)親王を中心とした南朝側の菊池氏、少弐(しょうに)氏との激しい戦いは、懐良親王が他界する1383年頃まで続きました。